一瞬の出会いで動きだす

かれこれ電車を待って数十時間。長いこと駅のベンチで電車を待っていた。あてのない旅にはあるあるだと思うがさすがに待ち疲れてしまった。

 

来る電車がこないことが日常茶飯事で稀にかなり早く来ることもあるインドの電車事情。今回は十数時間だったがこれは僕が悪い。時刻表はネットで確認できて予約もできる電車だが、生憎さまインドに着いてからネット環境もなく人伝いと、駅に行ってから確認していた。

 

それが今回、500kmくらいの長距離を移動しようと思ったが夜行列車しかないと言われ待つことにした。そしたら数十時間だっただけの話で、しかも途中までしか行かない電車だった。これも旅の醍醐味だろうと思って電車に揺られた。

 

駅で電車を待つ僕、次の電車はいつ来ますか?と駅員さんに聞くと十数時間。苦笑いして駅のホームに腰をかけて少し休憩することにした。

 

そうすると、近くで話を聞いていた若者が僕に話しかけてきた。最初はなんだこいつ?と警戒していたが話しをしてみるといい奴。僕が言うのもなんだが、この若者の英語が聞き取りにくい。

 

イングリッシュと言うらしい。インドのInglish。めちゃめちゃ聞きにくい。後々、たくさんの人にイングリッシュ話せるか?って聞かれた全てのつじつまがあった。僕はOKって答えていたけど、Inglishだったわけでイングリッシュ プリーズと言っても通じないわけだ。インド人のイングリッシュはInglishなのだから。

 

若干22歳のビノースはエンジニアの大学に通いながら働いてるらしい。お互いの自己紹介と家族との話しや恋人の話で盛り上がった。チェンナイに着いた時から思っていたことだが、北と南の文化はまるっきり違う。

 

やっと最近その文化の違いをはっきりと感じた。南の人の方がピースフルに感じる。いい距離感に愛嬌もあって旅をするには楽に旅できると思った。ご飯も北より格段に美味しいように感じる。

 

ビノースは日本人や中国人みたいな肌の色が恋しいと言っていた。それは、肌の色で差別が生まれるからと彼は言って笑っているが瞳の奥は笑ってないように感じた。

 

まだまだ残るカーストやそういった差別、僕は全くない。ryuはどうなんだい?彼はそういって僕に尋ねてきた。

 

僕もないよ。みんな平等さ。僕は答えた。

 

だけど、心の中では平等という言葉に何か蟠りがあった。平等ってなんだろう?

 

人によっていろんな考えがあると僕は思うが、生まれた瞬間に人は平等ではないんではないか?

 

羨んだり、かわいそうといった感情は平等を生んでいるのか?

 

ビノースは本当に人懐っこい奴で、常に僕の膝に手を置いてくる。これは別にゲイってことじゃなくて、インドは仲が良すぎると男同士でも恋人繋ぎで手を繋ぐし、肩を組んでいる。ビノースもその延長で距離が近い。

 

旅の中で家に来てくれと言われアドレスを交換しビノースは電車に乗って行った。

 

 

色々考えても頭がパンクするだけでただ必死に生きようと思う。

 

生きることって最高だと思えるようにね。