死闘を終えて

目を開けると暗かった。うとうとしながら電気をつける。目を開けた瞬間に体の異変に気付いていたが、目の前に無数の蚊たちが飛んでいたのにびっくりした。こんなにいたのか。僕は蚊に全身を刺されていた。

 

しかも、唇にまで刺してやがる。誰に刺してきたかわからない針でだ。

 

刺された場所を確認する前に僕は行動に出る。そう思っているうちに2匹落とした。ベットの上で身を潜める。

 

ベットの下を行ったり来たりしている蚊がいる。僕の左サイドを滑走してくるやつがいる。視界には無数の蚊が行き交っている。体育座りのまま少し腰を浮かすと同時に視界で蚊を捉えると、体が勝手に反応し膝下の蚊を落とし続けざまに左膝を折り、ベットの下で1匹落とした。体制を整えてベットに止まっている1匹を落とした。

 

一瞬の静寂がこの空間を支配する。すると右サイドからノイズが。視線だけを右に送り体はまだ反応しない。視線の左端に写った蚊を狙う。パンという音が部屋に響いた。空振りだ。全体の分布と残りの個体数を把握するために部屋の四隅とベットに視線を送る。まだ数匹の蚊たちが蛇行で飛行している。呼吸を殺しギリギリまで引き付ける。左腕に止まって一拍おいた瞬間に1匹落とした。

 

僕の腕の上で無残に散る蚊。僕の血が固まっていた。蚊たちは僕の前に出てこなくなった。どこかに身を潜めているのだろう。

 

一旦のブレイクで刺されていたところを確認する。足の指に足の裏が一番厄介だ。掻いたらこちょばいし、痛い。掻きたくても掻けないところが一番辛い。肘は4箇所刺されて、もう一個肘ができているみたいだった。

 

戦いによってかいた汗を流し、対策を練ることに。冷やすとかゆみが治まった。

 

どうにかしないと寝れない。

 

蚊取り線香もない蚊帳もない。しかし、蚊帳代わりを作ることができると思い持っている服を出すことに。

 

靴下、長ズボン、ジャンパー、ヘアバンド(アイマスク代わり)、ハンカチ。これで最強装備ができる。暑いインドで厚着は自殺行為に近い。しかし、ここの部屋にはファンがある。

 

準備を整えていると下にはアリの行列ができていた。僕が落とした蚊にアリが集っていたのだ。実に面白い光景で少し眺めてみることに。

 

蚊たちはアリ達の屈強な牙によって細かく刻まれて運ばれていく。キビキビと働くアリたちは列になして戻っていく。その列はしっかりと統率の取れた列で見事な美しさだった。

 

空調を最高レベルにして寝てみることに。厚着してるが寝れない暑さではなくなった。

 

 

目の当たりにした自然界の摂理。自然界は敗者には厳しい世界だ。