諦めたらそこで試合終了ですよ〜前編〜

睡眠薬事件から一夜明け、僕はムンバイからジョードプルに向けて電車で移動することにした。

 

昨日はiPhoneを再び買い、二代目iPhone 5sとなった。だいたい日本円で2万円くらいで指紋認証使えないし、汚いけどGPSを使えつのはかなりでかい。僕はGPSがマストで必要なのですぐに買ってしまった。このままiPhoneを無くしたり、盗まれたりしたら間違いなくiPhone費用が一番かかるだろう。GPSは本当に便利なのだ。

 

宿のおっちゃんに挨拶を済ませて僕は、ローカルの電車を乗り継いでジャンクションへと着いた。ムンバイでの観光はまた今度になるだろう。一瞬しかいなかったムンバイ。見所はたくさんあることを肌で感じていた。

 

前もって宿のおっちゃんに電車の時間を聞いていたので、だいたい1時間前に駅に着いた。駅の近くでインドバージョンのハンバーガーとポテトサモサをぱくつく。電車はホームで待機しているみたいなので荷物を荷物置きに置いてしばし立って出発を待つ。僕は当日券で入場しているので席がないのだ。

 

=ここで知らない人にインドの電車事情を説明したいと思います。=

 

インドの電車のクラス分けは高い順に、1A(エアコン付き寝台、個室(寝具付き)、2A(エアコン付き寝台、二段ベット)、FC(エアコンなし、個室)、3A(エアコン付き、3段ベット)、CC(エアコン付き、簡易三段ベット)、SL(エアコンなし、簡易三段ベット)、second class(エアコンなし、座席のみ)、general(当日券)

 

ジェネラル以外はほとんど予約でいっぱいになっています。当日に買いに行ってもほとんど買えないと思いますし、空いていたとしても1Aとかで結構高いです。って言うても日本では考えられないくらい安いですが。ジェネラルシートはもっと安いです。コカコーラと同じくらいです。

 

僕は3Aとジェネラルしか乗ったことないのでこのくらいしか情報持ってないです。あと、ネットで電車の時間と遅延具合と行き先見れたりするので、スマホ持っているインド人に行き先を聞いたら調べてくれたりします。

 

だけど、ほとんどの人は自分が乗らない電車なのに時間やプラットホームのナンバーなど知っていることが多いのでその辺の人に聞いたら早いかもしれません。知らなくても答えてしまうインド人ですが、数人に聞いたら大まかに正解までたどり着けると思います。

 

 

 

ムンバイから北に行くスーパーエクスプレスとあって、足場がないくらいごちゃごちゃだがが乗れないことない。インド人をかき分けて自分の場所を確保する。立つことに慣れてはいるが、長時間はさすがにきつい。スペースを見つけて地べたに座る。

 

ジェネラルだとほとんどの席が満席になっているので、地べたに座るのがいつものパターンだ。今回はだいたい15時間くらいの電車移動になる。タイムスケジュールはそうだが出発から大幅に遅れているのでもっとかかるだろう。インドではあるあるだ。

 

ジェネラルで一番人気なのは窓側の席だろう。風景を見ながら電車旅を楽しんでる人が多い気がする。乗車口のドアは開きっぱなしになってることが多いのでみんなそこに固まって外を見ている。僕もここからの風景は最高に好きだ。

 

街と町との間は広くて、田舎の風景が広がってくる。僕の故郷(北海道)の風景も似ていて懐かしい気持ちになる。

 

大きい町に着くとまた戦争が始まる。降りる人と乗る人が狭い乗車口でぶつかり合うのだ。我先にと先に進む姿勢は、思いやりの気持ちひとつもなくぶつかり合う。よくも悪くもこれがインドだろう。

 

ぶつかり合いに便乗して立ち位置を変えてみた。車両の中に入って地べたに座る。周りにはインド人ばかり。車両のファンが無数回っている。僕の体は汗だくだ。

 

喉がだんだんと乾いてきた。長時間飲み食いしていないのでお腹も減っているし何よりもコーラが飲みたい。今の時刻は20:00近く。

 

そうすると、ちょうど電車が駅に止まった。目の前にコーラを売っている店が僕の目に飛び込んできた。僕はコーラを買うために一目散にお店に向かった。

 

おっちゃんにコーラを注文し、コーラ片手に電車に戻ろうとする。目をコーラから電車に移すとそこに電車の姿はなかった。慌ててプラットホームを走ろうとプラットホームの先に視線を向けても、かすかに光る赤いテールランプが無情にも僕の視界から暗闇へと引きずり込まれていった。

 

電車が行ってしまったのだ。僕のバックパックとサブバックと一緒に。

 

僕は一人呆然としていた。