体の反応に身をまかせるのが一番です。

僕は今夜の火起こしのために木を拾いに行く。宿の裏にある廃墟で落ちている木を拾い集めていくんだ。そこは、数年前は栄えていたであろうゲストハウスで今はもう廃墟と化している。乾燥している木が多く火をつけるのにはうってつけの木だと思う。

 

廃墟で木を拾い集めた後に海沿いを散歩して時間を潰した。買い出しに行ったみんなはまだ戻っていないであろう。

 

ちょうど日が落ちて綺麗な夕焼けが、ダハブの向かいにあるサウジアラビアの山々を赤々しく染めていく。朝日とはまた違った美しさであった。染まる山々と夕焼け空を見ながら風景に浸る前に近くのお店から聞いたことある音楽が聞こえてきた。

 

上品なノリのいい曲。今のダハブとマッチングするインストルメンタルな曲だった。そのカフェには入ったことがなかったがカフェから漏れる曲を海辺に腰掛けながら聞いていた。そして次第に僕の心も乗り出す。きっともう少しで移動するのだろう。

 

毎日海に入って、気が向いたらみんなで作る料理。みんなで飲むビール。みんなで火を囲みながら飲むビール。どれも楽しく過ごしている。きっとこう楽しい毎日が続けば沈没への道が開かれると思うが、新たな刺激を体が求め始めた。体は正直だ。

 

宿に帰ってさっきの曲を調べてみた。カフェで曲名だけは聞いていたのだ。「Reptile 」そして僕の心の中で刻まれる曲となった。