心からのBigDanke schÖn

僕の中である変化が起きた。それは心からのものに対して、心から答えることの重要性であったり、無償の愛に対してのぶつかり方。

 

僕はノイシュバンシュタイン城の麓でキャンプしている時にある男性と出会った。その男性は見るからに70台に差し掛かろうとしている年代の男性で、The欧米人の年の取り方をしている。

 

彼は日本人が大好きみたいでノイシュバンシュタイン城で見つけた日本人の方達にガイドをしてあげたり家に招待などしている、日本のことが大好きな男性だ。そんな僕も一泊だけ泊まらせてもらったんだが、僕はこの出会いがすごく大きく残っていて忘れないうちに綴って行こうと思う。

 

僕は彼とノイシュバンシュタイン城の麓にあるサウナ(海外でいう温水プールついてる温泉)に出かけることになった。彼はサウナが大好きみたいで最初に会った時から僕にサウナを勧めて来てくれたので、一緒に行って見ることにした。

 

海外で初の温泉っていうことにワクワクとドキドキしている自分がいたけど、もう流されるように受付を済まし更衣室で服を脱ぎ始めた。そして着替えていると、目の前でおばちゃんが着替え始め僕はびっくりして心はおどおどしていたが、振る舞いは紳士たる心を前面に置いて服を脱いでサウナに入る準備に取り掛かる。

 

服を脱いで借りていたタオルで前を隠し、ロッカーを閉めようとしてもなかなか閉まらなく苦戦していると、着替え途中のブルンブルンのおばちゃんが僕のロッカーを締めてくれて事なきを得たのだが、どこに目線を置いていいのかわからなかったので、彼の方をのぞいてみたらまだ着替えている状態だった。

 

ここで確認して起きたいのだが、ロッカーにはパーテーションなど仕切りがなく男女も分かれていない更衣室だったのだ。なのでみんなここで脱ぎ、生まれたての状態に戻るのだ。

 

ロッカーがしまって彼女にお礼を言って彼がまだ着替えに手こずっていたので手伝ってあげた。すると胸には機械(多分血圧を調べるやつ。あまり深い話はあまりしていない)が取り付けられていた。僕はあまり気にしないように一緒にサウナに入ってサウナを楽しんだ。

 

サウナの中身をある程度紹介しようと思う。日本でいうサウナとほぼほぼ一緒だけど唯一違う点はプールみたいなところは水着着用はいいけど、サウナ内部やピュアな温水なところには水着着用がNGってこと。

 

って事は恥ずかしいやつは入るなって事で、恥ずかしがっていてはここでは通じないよってわけです。もちろん僕は子供のように遊ぶわけですが、なかなか慣れるまでカオスな状態でした。

 

しかしですね、みなさん察しの通りこの状態で若い女性が入っているわけないのです。中年クラスのおばちゃんとおっちゃんばかりでした。

 

彼はマシーンを気にしないでサウナに入っていたけど、僕がマシーンのこと気になったのでマシーンつけてサウナ入っていいのか医者に聞いたのか尋ねると、多分大丈夫と返答が帰って来た。これで僕はあまりマシーンを気にしなくなった。彼の病気のことを含めて。

 

次に僕たちは、塩を体に塗り込むサウナに入ることになった。最初は自分で塩を体に塗り込んでいたけど彼は僕の背中をやってやると言って背中に塗り込んでくれた。もうそこから僕は身を任せることになるんだが、全身くまなく塩を塗り込んでくれた。

 

その時点であらゆる僕の価値観が変わって来て、今度は僕が彼の背中に塩を塗り込んであげた。

 

知らない男性で、こんなにも人の背中を触ったことない僕にしたら初めてのことづくしなわけで、しかも男性で。今までに親父の背中しか洗ったことない僕だけど、すんなりと彼の背中を洗うことができた。そして脚や手も。

 

なんか嫌な気持ちしなかった。

 

比較するのはナンセンスなんだけど、旅に出てからと旅に出る前では明らかに変わっている自分がいて、後者の僕では絶対におっちゃんの背中を洗わなかったんだろうなと後々サウナを出てから思うことが多々あり考えさせられた。

 

本当に、嫌な気持ちが何一つ出てこなかったんだ。

 

家に帰って彼の奥さんと一緒に夕食をいただき、太い日本の本を彼は出して来て僕はそれに一つ一つ説明していった。午前中に近くの湖畔を三人で散歩に出かけ、僕たちはサウナに行き彼女は家で待っていてくれたわけだが、彼女は嫌な顔一つもせず僕を迎え入れてくれて、僕のしょーもない英語に熱心に耳を傾けてくれた。

 

普段は7時に寝る彼女だと聞いていたので、まだ分厚い本は見終わってないけど寝ようと僕は話を切った。それも一度や二度ではない。結局最後まで日本のおしゃれな情景が載っている本を見終えた時には、時計の針は夜の10時を超えていた。

 

彼女は「ありがとう」と僕にお礼を言ってくれた。そして日本を旅しているようになったと感想を言ってくれた。

 

そして僕たちは眠りにつき、朝になり僕をバス停まで見送ってくれた。

 

たくさんの日本人が彼にお世話になっているのも聞いたし、僕が何ら特別なわけなどない。こうゆう事はよくある事だと彼女は言って話してくれたから。

 

だけど、僕にとって二人と過ごした事はかけがえのない時間で素敵な時間だった。二人は僕に無償の親切と見返りの見ていない優しさと愛を僕にくれた。多分だからだろうか、僕は心からぶつかれたのは。

 

心からには心から。心は心でしか通じ合わないのかもしれない。そして愛も。

 

むしろなんか考えるのもナンセンスな気がしてアルプスの山々を見ている僕だが、変化してきている自分がいることにやっと気づいたのかもしれない。別に大したことではないのかもしれないけど、僕にとってはかなり大きいことだった。

 

何も考えなくていい、不器用なりに素直にそして僕なりの愛を。そんな気持ちでぶつかっていく。

 

僕の友達の嫁さんに介護をしている方がいます。僕は、彼女の仕事に対し今までバカにしたり笑ったりしたりする態度をとっていたことが多々ありました。仲がいいっていうことではないのかもしれないな。

 

僕は尊敬の気持ちはあったけど、どこか心からということに欠けていたのかもしれない。恥ずかしいけどそんなちっちゃな人間だったんだろうなと思います。

 

これから些細なりに僕は僕なりに返して行きたい。それは小さなことでも一つずつ。そんなこと心において旅を続けるのかな。

 

バイバイと2人と別れてから目の前がどんどん滲んできて耐えられなかった。よく晴れたいい天気なのに空が見れない。

 

僕はどこか2人に、ばあちゃんとじいちゃんの姿を重ねていたのかもしれない。