本当に失ったものは違うものだった。2部

勢いでカサブランカからエッサウィラ行きのバスに乗り込んだ僕はお腹が減ったので、一度バスを降りてサンドウィッチを買ってバスに乗り込む。

 

乗客が乗り込んできて気づいたのだが、このバスが恐ろしく問題のあるバスで一番最終列に座っていた僕だが隣をよく見るとシートがない。座るクッションがなく剥き出しの鉄しか見えない。僕の両隣りが剥き出しの鉄で座るのも困難な状況だが、バスには乗客たちがぞろぞろと入ってきてあっという間に満員になってしまった。

 

席がなくなってゆくとバスのおっちゃんが、あそこが空いているぞと僕の横を指差してくる。乗客は僕の隣の席を見て座れないよと話している。しかし、バスのおっちゃんは座れるだろと意気込んで言っている。

 

座るところがない乗客は渋々鉄の上に座って出発を待つ。そしたら、一部の乗客が座れないのにチケットを売るなと怒りだした。バスの中は一気にヒートアップしてゆきバスの中で、国会討論並みの荒れ方になった。

 

周りの人たちが一気にまくし立ててバスのおっちゃんに詰め寄る。おっちゃんも負けじと言い返している。バスは一向に出発する気配はない。なんやかんやの口論の末に、バスに乗っていた一部の乗客たちが降りだした。

 

それを見て我先にとそのシートを巡って一斉に押し寄せてくるモロッコ人たち。女性とおばちゃんおじちゃんが優先されてシートに座って行く感じを見て、一応口論は収拾したらしい。なんとも海外らしいと言えばそうなのかな。アツくなっていた人たちはみんな笑顔で談笑し始めた。

 

バスが走りだしたのは僕がバスに乗ってから1時間は経過していた。

 

(ちなみにモロッコの人たちが話している言葉はわからないので全て僕の憶測になるが、あながち間違ってはいない解釈だろうと思う。想像してみて欲しい)

 

もうすっかり暗くなってどこを走っているかわからないバス。隣のおっちゃんは僕に話しかけてくれる。しかし、僕は「ウィ」と相槌をうつしかできない。おっちゃんの歯は無くなっていたけど、それでも優しく僕に語りかけてくれるおっちゃんの好奇心は失っていなかった。おっちゃんは途中で降りてゆき、バスの外から笑顔でバイバイしてくれた。

 

話しかけてくるおっちゃんがいなくなり、それから僕はエッサウィラに着くまでずっと寝ていた。

 

深夜1:00過ぎについたエッサウィラの街は閑散としていてどのホテルも閉まっている。僕はとりあえずメディナに向かって歩きだし、潮の匂いを感じて匂いを頼りに歩くことにした。

 

バス停から20分くらい歩いたところで海たどり着いた。波の音が妙に懐かしく感じて僕はビーチの砂浜の上でテントを張って寝ることにした。

 

誰もいないビーチは僕だけの空間を作りだし、月明かりに照らされたキラキラ踊る光を眺めて僕は寝袋にくるまった。

 

バス移動しんどかったな、、、