本当に失ったものは違うものだった。3部

照り照りに照りつけられたテントの中が暑くなって僕は目を覚ました。

 

テントを開けると一瞬眩しくて目がくらむ。ぼやけた視界に目が慣れてくると、周りには海に入って楽しんでいる人と、日向ごっこしている人たちで溢れかえっていた。ビーチの中でテントを張っているのは僕だけだが意外と馴染んでいるのか、ジロジロ見られることはなかった。

 

ビーチを眺めて本を読む。そして暑くなったら海に入る。海は意外と冷たくて長時間は入れない。だけど、久しぶりの海で楽しかった。まさかモロッコで海に入るとは思ってもいなかった。

 

寒くなってきたので荷物を残してホテル探しの旅に出た。あらかじめホテルの情報を聞いていたので目星のホテルに行ってチェックインすることにした。(Cill&sufu  ドミ60DH)

 

ドミトリーにはフィリピンのおっちゃんがいて自己紹介。おっちゃんは気さくに話してくれて日本のことが好きだよって言ってくれた。だいたい日本人って言うと私は日本のことが大好きだ!!と言われるので僕はあまり突っ込んだ話しをしない。話しが長くなると面倒なので。

 

(私は日本人のことが好きだアピールするのは旅人あるあるではないでしょうか、、、むしろ、どの国の人でもそう言っている可能性が高いやろなと、ひねくれた性格をしている僕)

 

僕はシャワーを浴びたり、洗濯したりと身の回りのことをドミトリーでしていた。そしておっちゃんは身支度を整えて外出して行った。

 

僕はレセプションでWi-Fiのパスワードをもらい色々と返事を返していたら、トドラ渓谷で知り合った方がエッサウィラにいはるってことで、夜ご飯を一緒に食べに行こうと連絡を取り合った。時間まで色々と荷物を整理していたら待ち合わせの時間になった。

 

靴下を履こうとベットの上を探す。シャワーを浴びる前にパンツや靴下など着替えをベットの上に置いておいたのに、なぜか靴下だけ見つからない。少し探したけど待ち合わせの時間に遅れてしまいそうなので、靴下なしで靴を履くことにした。

 

砂漠で履いていたコンバースの中には取りきれなかった砂がたくさん入っていて、素足の足にはきつい。だけど仕方ないので素足にハイカットコンバースという組み合わせでご飯を食べに行くことにした。わやいずくてしょうがない。

 

少し迷ってしまい待ち合わせに遅れてしまったけど、海鮮タジンを食べに行くことにした。この時僕は、胸ポケットに入れていたリップクリームが無くなっていることに気づき、お金を入れていた財布を見るとお金がないことに気づいた。

 

ご飯を食べている時にたくさんの憶測が頭をぐるぐると廻り、宿に帰ったらよく探すことにしようと思い、海鮮タジン鍋をがっつく。正直、残してきた物が気が気じゃない僕だがタジン鍋が美味しすぎたので、お茶飲んで喋っていたらあっという間に時間が過ぎて行った。

 

宿に帰って僕は荷物をひっくり返して探してみる。探してみると無くなっているのが多々あることに気づく。

 

お金(5000円くらい)、使い終わっていたリップクリーム(貧乏性なので最後は指でほじくってから捨てる)。マクラメ編み途中のネックレス2本。靴下。ポマード(使いかけの整髪料)が無くなっていた。

 

盗んだ物のセンスが気持ち悪い。

 

宿には同室のフィリピン人と僕しか泊まっていない。フィリピン人が盗んだとしか考えられない。証拠はないがなんとなくこいつが盗んだと僕の動物的勘が働く。それはそうと、僕が帰ってから怪しい雰囲気はなかったが、僕がそっけない反応やこいつをじっと睨んだりしているうちにプレッシャーがかかったのか、僕の機嫌とりを始めた。

 

話していることすべてが胡散臭く感じる。

 

おっちゃんが電話をかけに外に出た。僕は一か八かでバックの中を調べてみることにした。そしたら、僕が使っていた同じリップクリームを発見し、そんなまさかねと思いながらリップクリームの中身を確認したら、使い終わったリップクリームを指で穿っている痕跡が見つかり、これは俺のだと確信した。

 

ガチで気持ち悪い。お金とかは自分の管理不足なのでしょうがないと思うが、使いかけのリップクリームを盗むことは気持ちが悪い以外何もない。

 

ただただ、キモい。

 

それからおっちゃんは部屋に戻ってきて、買ってあった魚のフライをくちゃくちゃ音を立てて食べている。その音にも、その食べ方にも僕は無性に腹が立ってしまい、とりあえずおっちゃんを睨みまくって、グーグルの翻訳を使って、俺の荷物盗んだやろって聞いてみた。