第3章 大切な日本の味

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大切な日本の味

 

 

意識がもうろうとしてる中、何かの音と眩しい光に意識が戻ってくる。

 

誰かがテントを叩いているのが意識の狭間でわかった。はっと起き上がってテントのファスナーを渋々開けた。そこには、 サラリーマン風の男の人が立っていて、ここでテントを張ってはいけないよ。出て行ってくれと言われた。

 

ごめんなさい。と告げて僕は寝袋をしまい、身支度を整えた。サラリーマンの方は早々と車で行ってしまった。

 

薄暗がりの中でテントを片付けて荷物を自転車にパッキングし直す。今の時間は4:36分。少し寝れたから体力は少しばかり回復していた。気合いを入れて早々と自転車をこぎ始めた。スーパーを見つけるまでとりあえず走ってみようと思う。

 

どんどんと景色が変わってくる。ロサンゼルスの街並みが田舎の風景に変わりだし山々が遠くに見え始めた。街と街の間がどんどん開いていく。

 

途中で見つけたスーパーでチョコパンと安いエナジードリンクと水を1ガロン買った。米とパスタも買い足して近くの広場でご飯を作ることにした。

 

昇ってくる朝日がだんだんと眩しくなり、自然と頬がゆるくなる。広大な空に昇ってくる太陽。自分が今していることそして今から起ころうとしていること、ワクワクが止まらない。

 

ふつふつと湧き上がってくるワクワクを抑えながら、沸騰してぶつぶついっている鍋にパスタを半分に折ってぶち込む。お湯にはあらかじめ塩を入れておいてるけど、僕の好みはちょとばかし塩分濃いめ。

 

目の前の景色を眺めながら茹で上がるのを待つ。太陽はもう既に頭の上に来ている。パスタのお湯を捨てた時に気付いた。パスタに味付けする調味料がないことに気づく。

 

ハッとして、どうしようか悩んだ時にボリビアでパックになっている醤油を友達にもらっていたことに気づく。急いでバックパックの中身を出して醤油を探し、大切な醤油を惜しげもなくパスタに混ぜ、意気揚々とパスタを食らう。

 

めっっっっちゃうまい。。。。。

 

これだけで、あと三日は頑張れるわ。と訳のわからん言葉を吐き、と同時に醤油がなくなったことへの喪失感も同時に襲ってきた。

 

大切な醤油。しかし、ちょっと荷物少なくなったかな?と前向きにご飯を食べた。