第5章 風に乗った瞬間

第5章

 

風に乗った瞬間

 

朝方に一度目が覚めた。と言うのもうっすらと目を開けたら、外が明るくなっていたからから朝なのかなと?と思いながら、また目を閉じて眠った。

 

二度寝から起きたら8:00すぎだった。筋肉痛なのか体は重い。何か重いおもりを体に巻きつけているみたいだ。だけど、昨日の疲労感よりも全然体が楽だ。少し順応してきた体を感じる。早く寝たのが良かったのかもしれない。

 

軽食を食べてから、迷い込んだ工場を後にした。前に進もうとペダルを回す。迷っていた道は結局Free Wayを進んで抜けた後の道だった。

 

アメリカの道のわからなさは、時々出てくるFree Wwayの道路の突っ込んでいっていいかどうか。日本で言う一般道と高速道路。というのがなく、高速道路みたいなでっかい道がFree Wayとしてあり自転車も走っていいようになっているらしい。有料道路は今の所見たことがない。

 

Free Wayを抜けて普通の道路を走る。目の前には坂。坂を越えて坂。坂。坂。

 

最初は頑張ってペダルを回していたけど、力尽きて自転車を押す。上り坂に重い荷物を積んだ自転車は苦行でしかない。とにかく自転車を押して進む。それしか今の僕に選択肢はなかった。

 

坂はとにかく永遠に続く。坂を越えても坂が目の前にある。いつまで続くのか。そんなことも考えられなくなってくる。しかし、クラクションを鳴らして追い越しざまに手を上げてくる人。徐行して何か声をかけてくれる人。たくさんのアクションを僕にくれる。

 

そのアクションの一つ一つが僕の活力になっていた。アメリカらしいそのフランクさが僕の救いになっていた。

 

坂を登りきるとやっとこさ下り。下って、下って、ちょっと進んで下る。永遠の下りに自転車に乗る楽しさが出てきた。ぐんぐんとスピードが出る。風に乗っている。そう感じるくらいに自転車が軽い。この無敵感はマジで最&高だった。

 

途中にマクドナルドを発見し、0.25セントを入れてトイレに入る。一週間ぶりのシャンプーが気持ち良かった。もうどこでもシャンプーできる。

 

束の間の休憩でまた自転車をこぐ。

 

街中のFree Wayを走っていたらパトカーが来てここ走ったらダメと言われた。パスポートを見せてアメリカ横断の看板を見せる。そしたらむっちゃ笑われて握手を求められた。これもアメリカのいいところだ。

 

走り出した僕は街から抜けるところでウォールマートを見つけて買い出し。水を多めに買い食料も揃える。お店のWi-Fiで地図を見て80km以上も進んでいたことに気づく。初めての80kmオーバーに少しテンションが上がった。

 

意外と進んだみたいなので、近くの茂みでテント張って寝た。なかなか寝付けない。日課の日記をつけて寝付くことにした。