第8章
失敗から学ぶ事
朝の日差しがテントに照り照りに照りつける。今日も凄まじい快晴。テントをしまいこんで身支度を整える。いつものルーティーンだ。ご飯を食べていざ出発。ご飯はいつものパスタにオリーブオイルをぶっかける、ワイルドパスタ。胃に入れば何でもいい。
早々とペダルを漕いで進む。坂道をどんどんスピードに乗って走っていく。風に乗って走るのは何て気持ちがいいんだと思いながら、弱虫ペダルで真波くんの背中に翼が生えている描写を思い出す、今がまさにその感じ。ぐんぐんと風に乗るとペダルがスムーズに回る。この感じがたまらなく快感だ。多分、真波くんも一緒の感じなのかな。
坂道が終わり、平坦の道を悠々とペダルを漕ぐ。なんだろう?この違和感。道の周りはいつもの荒野でいつも見てきた景色となんら変わらない。だけど、何かが僕の心に引っかかっている。なんか、見たことある景色だぞ。
そう思って、近くの民家にここの場所を尋ねてみた。民家にはおじいちゃんがいて、おじいちゃんはとりあえず僕に水をくれて話を聞いてくれた。一応道はあっているらしい。けど、進む方向は反対側だったらしい。まさかのまさかできた道を引き返してきたみたいだ。それを聞いて少し肩を落としている僕におじいちゃんは、優しく声をかけてくれた。
「If you're doing your best, you won't have any time to worry about failure.」
なんて楽観的でポジティブなんだとこの時は思っていたけど、改めてこの言葉の重みに気づく。たくさんのことを気づかせてくれた言葉だった。
おじいちゃんに道を説明してもらいいざ出発。反対に走っていた分を、今日は取り戻そうとペダルを漕ぎ始めた。
昨日きた道を引き返す。どこかで間違えた道が判明し、気持ちが少し楽になった。坂道を今度は永遠に登る。ペダルを漕いでも進まない場合は、自転車を押して坂道を登っていく。自転車を押している時は鬼の形相をしているだろう。そのくらいに坂道が続いている。
きた道を引き返すこと、上り坂。そんなことが重なって精神的に辛くなってくる。しんどい。こんな気持ちしか出なくなってくる。
坂道はずっと続いているけど、太陽が傾き精神的にもきつかったから、道の脇にある荒野部分でテント張って寝ることにした。テントは斜めになってるけど致し方ない。横になれば体力は回復するだろう。
横になると笑みがこぼれた。明日もがんばろっと。
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